雲南 ― 発酵が生み出す、新しいコーヒーの可能性
コーヒーの産地として注目を集める雲南。
私たちKOUNOU COFFEEが手がける軍馬渓谷農園では、気候や標高といった自然条件だけでなく、発酵という文化的な背景がコーヒーづくりに深く息づいています。
2025年クロップはすでに収穫を終え、大阪の倉庫に入荷済み。
ロースター・業務用販売・小ロット取引など、さまざまな形でご案内を進めています。
🌿 発酵技術の追求
雲南のコーヒーには、ほかの産地にはない個性があります。
その理由のひとつが、数千年にわたり受け継がれてきた発酵文化です。
軍馬渓谷農園では、その伝統をもとにしながら、毎年新しい挑戦を続けています。
1杯のコーヒーを追求するために、湿度や温度を0.1%・0.1℃単位で調整し、何年も検証を繰り返す。
思い描いた風味にたどり着くまで、何度も失敗し、また試す――その繰り返しが私たちの日常です。
私たちが大切にしているのは、自然の微生物や気候の力を生かし、その働きが最も美しく調和する瞬間を見極めること。
そうして育まれるコーヒーには、豊かな甘み、芳醇な香り、そして深く続く余韻が宿ります。


🍶 長い歴史と伝統
雲南には、古来より酒造りや発酵文化が生活の一部として根づいてきました。
その知恵は時代を超えて受け継がれ、現代のコーヒーづくりにも息づいています。
昔から人々は、発酵を自然とともに行うものとして捉えてきました。
人が全てを操作するのではなく、自然の営みを見守りながら味を育てていく。
この土地ではそれが当たり前の考え方として続いてきたのです。
軍馬渓谷農園も、その文化を受け継ぐひとつの場所です。
伝統の発酵文化を現代の技術で再解釈しながら、毎年新しい表現に挑戦しています。
古くからの知恵と最先端の探究心がひとつになり、コーヒーの未来を切り拓く――それが、雲南で続く発酵の物語です。


🏇 軍馬渓谷農園
標高1,200〜1,600mの山あいに広がる軍馬渓谷農園。
朝夕の霧と澄んだ空気、そしてゆるやかに流れる時間の中で、コーヒーチェリーは静かに熟していきます。
農園では、ロットごとに生産区画を分け、際立つ風味特性を持たせるために、それぞれの環境や発酵条件を細かく調整しています。
気温・湿度・日射・発酵時間──あらゆる要素を観察しながら、その年ごとの自然の個性を最大限に引き出すことを目指しています。
発酵のアプローチひとつで風味がまったく異なるのが、軍馬渓谷農園の魅力です。
その探求心と繊細な手仕事こそが、雲南のコーヒーを特別な存在にしています。
⚗️ 発酵工程 ― 科学と自然のあいだで
軍馬渓谷農園の発酵は、単なる精製ではなく、微生物との対話のような工程です。
収穫されたチェリーは密閉タンクに入れ、温度・湿度・酸素量を精密に管理します。
わずかな環境の変化でも発酵の進行が変わるため、0.1℃・0.1%単位の調整を重ねながら、果実由来の糖分が心地よい甘みへと変化していく過程を見守ります。
さらに、各ロットでは発酵タンクの材質・気密度・発酵時間も変化させ、
まるでワインづくりのように味の設計を行っています。
🌸 醸シリーズ ― 雲南が伝える発酵の物語
2025年クロップでは、4種類の発酵ロットを用意しました。
それぞれに異なる環境・発酵法・香味表現を持ち、
まるで土地と自然が語りかけてくるような個性を宿しています。
🍫 春醸濃(しゅんじょうのう)
コーヒーチェリーを洗浄・フロート選別した後、密閉タンクで高温発酵を行います。
発酵が穏やかになったタイミングでチェリーを取り出し、冷涼な環境で風通し良く静置。
発酵をおよそ50%進め、微生物が最も心地よく活動する状態で止めることで、深みとコクを伴う芳醇な味わいを引き出しました。
カカオや黒糖を思わせる濃厚な甘みが、ゆっくりと口の中に広がります。
余韻には柔らかな苦みと、丸みのある質感が感じられます。
🍷 春醸醉(しゅんじょうすい)
洗浄済みのチェリーを密閉容器に入れ、高温環境で発酵を進めます。さらに温度を段階的に切り替えながら、芳醇な酒香が立ち上る瞬間までじっくり熟成。その後、低温・通風の良い環境で丁寧に撹拌しながら乾燥を行います。この古典的な発酵技法によって、高級アルコール類を含む複雑な香気成分が生成され、
まるで古酒を思わせる奥深さと果実の熟成感を併せ持つ一杯に。豊かな香りが長く続く、神秘的な余韻が特徴です。
💧 碧泉醸(へきせんじょう)
自噴する山の湧き水でコーヒーチェリーを洗浄・フロート選別し、すべての工程を清泉のように涼やかな環境で行います。チェリーは密閉型タンクに投入され、ガスを排出しながら静かに発酵。
華やかなフローラルの香りが立ち上る瞬間を見極め、低温でじっくりと乾燥を進めます。
その目的は、湧き水のように澄み切った清らかな風味を引き出すこと。
透明感のある酸味と繊細な甘みが調和し、花々を思わせる香りがふわりと広がります。
🌾 野村醸(のそんじょう)
山あいの村で代々受け継がれてきた素朴な発酵桶(かめ)を使用。気密性が高くないため、発酵時には練った土で蓋をして嫌気性環境をつくり出します。この伝統的な製法は、まるで古酒の熟成のよう。
内部で何が起きているのか、誰にも分からない――
それでも、土と微生物が共に働き、時間が味を育てていくのです。
その結果生まれるのは、山野の香りを含んだ奥行きのある風味。
自然と共生する村の息吹を感じさせる、どこか懐かしくも力強い一杯です。
これら4つのロットは、古来の酒造りの知恵と現代の発酵研究から生まれたもの。
自然がなければ、コーヒーは何ひとつ生まれない。
だからこそ、この地の環境を尊び、自然の力を最大限に活かす発酵を続けています。
それが軍馬渓谷農園に流れる哲学であり、世界に伝える価値です。


🏠 ご購入・お取引について
現在、2025年クロップは大阪の倉庫に在庫がございます。
焙煎所様、ロースター様、小ロットでの仕入れをご希望の方もお気軽にご相談ください。
サンプルのご用意も可能です。
📩 お問い合わせ先
KOUNOU COFFEE(宏納株式会社)
Mail:rokushima@kounou-coffee.com
Tel:070-9166-3139
担当:六嶋(ろくしま)